食品開発担当者直伝・美味しさを諦めない減塩術!長続きするコツ5選

この記事でわかること

        • 塩分が多い調味料・少ない調味料の違いと、減塩調味料への置き換え方
        • 食事の満足感を落とさずに続けられる、少しずつ減塩するコツ
        • うま味を活用して塩分を減らしても満足感を得る方法
        • スパイス・ハーブ・調理法の工夫で風味を引き出す減塩テクニック
        • 油脂の使い方で塩味を強める、食品メーカーならではのマル秘テクニック

    はじめに

    「減塩しなければいけないのはわかっているけれど、食事が味気なくなってどうしても続かない…」

    高血圧などの生活習慣病の治療のために減塩を始めたものの、このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。

    じつは、塩分を減らすだけが減塩ではありません。「味の感じ方そのものをコントロールする」という視点を持つと、満足感を落とさずに減塩を続けることができます。

    本記事では食品開発担当者ならではの視点から、科学的根拠のある5つのコツをご紹介します。
    調味料の選び方から、うま味・スパイス・油脂の活用まで、今日から実践できる具体的な方法を解説します。

    この記事を読み終えると、薄味に慣れることなく、普段の料理のちょっとした工夫で無理なく減塩できるようになります。
    減塩に取り組んでいる方や、食品開発担当の皆様に、ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。

     

    1.塩分が少ない調味料を選ぼう

    実は調味料が塩分の主な供給源

    日常の食事の中でどのような食材から塩分を摂取しているのか意識したことはありますか?
    じつは加工されていない元々の肉や野菜には塩分はほとんど含まれておらず、料理の塩分の大半は、調味料に由来しています
    以下は、様々な食材の塩分量を示したものです。
    調味料については、厚生労働省は1日の食塩摂取量として成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満を推奨しています。
    各調味料を大さじに換算した値も、併せて載せています。

    食材 100gあたりの塩分量(g)
    トマト 0
    キャベツ 0
    牛肉(肩ロース) 0.1
    豚肉(ロース) 0.1
    鶏肉(もも) 0.1
    調味料 100gあたり
    の塩分量(g)
    摂取目標量(この値未満を推奨)
     大さじ(杯)/1日
    男性 女性
    醤油 12.8 3.9 3.4
    こいくちしょうゆ(減塩) 8.3 6.0 5.2
    オイスターソース 11.4 4.4 3.8
    みそ(米みそ) 12.4 4.0 3.5
    減塩みそ 10.7 4.7 4.0
    めんつゆ(ストレート) 3.3 15.2 13.1
    みりん 0
    みりん風調味料 0.2 250.0 216.7
    料理酒 2.2 22.7 19.7
    ドレッシング(ノンオイル) 7.4 6.8 5.9
    0
    ケチャップ 3.1 16.1 14.0
    マヨネーズ 1.9 26.3 22.8
    顆粒和風だし 40.6 1.2 1.1
    顆粒中華だし 47.5 1.1 0.9

    注目すべきは顆粒だし(和風・中華)の塩分量の高さです。
    顆粒和風だしは大さじ1杯強で、1日の目標量に達してしまいます。
    「だしで旨みを出しているから醤油は控えている」という場合でも、だし自体の塩分には要注意です。

    醤油やみそは料理で頻繁に使う調味料ですが、大さじ3-4杯分で一日の摂取目標量に達してしまいます。
    まずは減塩のものに置き換えるだけでも、食塩摂取量を下げることができます。

    出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年日本における食塩摂取量の現状と減塩推進への課題

    2.少しずつ減塩しよう!

    味覚は「10%の変化」に気づきにくい

    「急に薄味にすると食事が辛くなる」という方に試していただきたいのが、段階的な減塩です。
    味覚に関する研究によれば、味物質の濃度差が約10%未満であれば、人はその違いに気づかないとされています。
    したがって、少しずつ減塩することは、食事の満足感を落とさずに減塩できるアプローチといえます。
    しかし、これは食品によって傾向が異なります。
    例えばパンの場合は含まれる塩の25%を段階的に減らしても消費者は味の変化に気づかなかったという報告がありますが、一方で食品の種類によっては10%未満の塩分削減でも嗜好性の顕著な低下が見られたというケースもあるようです。

    どれくらい減塩しても影響がないかは食品ごとに異なるため、様々な食品で減塩の量を少しずつ調節しながら試してみることをおすすめします。

    置き換えのコツ

    参考:Taste psychophysics., A one-quarter reduction in the salt content of bread can be made without detection. 

    3.うま味を活用しよう!

    塩分を増やさずに「満足感」を出せる

    減塩料理が長続きしない要因の一つに、味の薄さによる満足感の欠如があります。
    この問題を解決するヒントがうま味です。ま味には塩味を増強させる効果があるため、塩分を増やさずに食事の満足感を出すことができます。

    一般的なレシピで作られたスープとうま味を増量したスープを比較した実験では、うまみを増量したスープは食べやすさを損なわずに塩分を約30%減らせるという結果が報告されています。

    昆布・かつお節・しいたけなどの天然素材からだしをとることで、うま味を手軽に取り入れることができます。うま味による減塩の例
    顆粒だしは塩分が高めなので、できれば天然素材のだしの活用がおすすめです。

    参考:日本うま味調味料協会、「うま味」ってなんだろう?

     

    4.スパイスや調理方法で風味を強めよう!

    「香り」が塩味の感じ方に影響する

    私たちは食品を食べるとき、その味だけでなく、「香り」も同時に楽しんでいます。
    その「香り」が塩味に作用することが近年の研究で明らかになっています。
    たとえば、強い風味を持つ食材(例:ハーブやスパイス、柑橘類、マスタード、酢)は、減塩に有効とされています。
    また料理に焼き色や焦げ目をつけると料理の風味が増すため、塩で味をつけなくても満足感が生まれやすく、塩の使用量を減らすことができます。
    風味を強める素材

    たとえば、炒め物に焼き色をしっかりつける、レモンや柚子の果汁を仕上げにかける、ハーブを加えるといった工夫が効果的です。

    参考:Taste and Flavor Roles of Sodium in Foods: A Unique Challenge to Reducing Sodium Intake

    5.油脂を上手に活用しよう!

    油の「使い方」で塩味の感じ方が変わる

    今回ご紹介するコツの中で、最も知られていないにもかかわらず効果が大きいのが、油脂の活用です。
    油脂には塩味の受容を変化させる機能があり、使い方によって塩味が強まったり、逆に感じにくくなります。
    例えば、マーガリンのように油の中に塩味がある場合、ヒトの舌は塩味を感じにくくなります

    W/O乳化の塩味

    しかし逆に油が内側にある状態だと、塩味を感じやすいと言われています。

    O/W乳化の塩味

    つまり、味噌汁やスープのような水ベースの食品に油を数滴垂らしてみると、塩味を引き立てることができます。
    例えば、減塩みそで作った味噌汁に油を数滴垂らしたり、油揚げなどの油を含む具材を入れるだけで、塩味を感じやすくなって満足感が得られます。
    ぜひ一度お試しください。

    スープに油で減塩可能

    参考:五味に及ぼす油脂の影響

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    『クリアエール』が日本食糧新聞社の「新技術・食品開発賞」を受賞しました>>>

     

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    ぜひお試しください。

     

    さいごに

    本記事では、美味しさを諦めない、減塩を続けるための5つのコツをご紹介しました。

    1. 塩分の少ない調味料に切り替える(特に減塩醤油・減塩みそへの置き換えが効果的)
    2. 少しずつ段階的に減塩する(急な変化は長続きしない)
    3. うま味を活用する(塩分30%削減でも満足感を維持できる可能性)
    4. スパイスや調理法で風味を強める(香りが塩味の感じ方に影響する)
    5. 油脂を上手に活用する(水ベースの料理に油を加えると塩味が引き立つ)

    減塩は健康的な生活を送るために重要な取り組みであり、食品開発の現場においても重要なテーマの一つにあげられます。
    減塩の取り組みは味気ない食事では長続きしません。
    これらの方法を一度にすべて実践しようとせず、まずは無理のない範囲で一つひとつ試してみることが重要です。

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    よくある質問

    減塩調味料に切り替えると、どのくらい塩分を減らせますか?

    調味料の種類によって異なりますが、たとえばこいくちしょうゆを減塩タイプに切り替えると、同量あたりの塩分量を約35%削減できます(12.8g → 8.3g)。
    毎日使う調味料を置き換えるだけで、積み上げ効果は大きくなります。

    うま味調味料を使えばいいですか?

    うま味調味料も有効な方法の一つです。
    ただし、天然素材(昆布・かつお節・しいたけなど)のだしも同様にうま味を含んでいます。
    顆粒だしは塩分が高いため、塩分量に注意しながら使うことをおすすめします。

    油脂の塩味増強効果は、どんな料理でも得られますか?

    特に味噌汁・スープ・煮物などの水ベースの料理で効果を感じやすいとされています。
    油のなかに塩味がある状態(マーガリンなど)では逆効果になる場合もあります。
    料理の形態に合わせて活用してみてください。

    減塩は一気に進めた方が体にいいですか?

    急激な減塩は食事の満足感を大きく損ない、長続きしない原因になります。
    味覚の研究では、少しずつ段階的に減らす方法が、食事の嗜好性を維持しながら減塩を進める上で有効とされています。
    まずは今の塩分量から10%程度を目安に少しずつ試してみてください。