知らないと損する!? トランス脂肪酸の真実と、安心して食事を楽しむコツ

「トランス脂肪酸」という名前、皆さんは聞いたことがあるでしょうか?
「トランス脂肪酸って健康に悪いって聞くけど、どう悪いのかわからない…」
「トランス脂肪酸はいったいどんな食品に入っていて、何に気をつければいいの?」   
こんな疑問を持っている方も多いと思います。

 そこで!この記事ではトランス脂肪酸の基本的な知識だけでなく、どんな食品に含まれているのか、どの程度だと食べ過ぎになるかを解説します。

1.トランス脂肪酸について

結論からお話しますと、日本での一般的な食生活でトランス脂肪酸の危険性を気にする必要はありません。
なぜ?と気になる方のため、まずはトランス脂肪酸の基本的な内容にふれていきます。

1.1.トランス脂肪酸は食品の「油脂」に含まれる成分

まず、どんな食品にトランス脂肪酸は含まれるのでしょうか?
答えは、「油脂」を含む食品です。

しかし、どんな油脂にもトランス脂肪酸が含まれている訳ではありません。
トランス脂肪酸の由来は大きく分けて二つあります。
1つがウシ、ヤギ、ヒツジなどの反芻(はんすう)動物に由来する天然のトランス脂肪酸であり、肉やバターなどの乳製品に含まれます。
そしてもう一つが、マーガリン等の原料油脂を精製・加工する過程で発生するものです。

二つのトランス脂肪酸

参照:すぐにわかるトランス脂肪酸(農林水産省)

1.2.食品中の油脂について

バターやマーガリンというと、皆様はパンに塗る食べ方を思い浮かべると思います。
しかし、食品の原料として消費者の目に直接見えないかたちで使われる場合も多いです。

たとえばパンを大きく膨らませたり、クッキーをサクサクと美味しい食感にするため、生地にバターやマーガリンを混ぜ込みます
一般にはあまり知られていないかもしれませんが、家庭で使うマーガリンとは違った用途があり、多くの食品づくりに欠かせない存在として活躍しています。

こういった理由から、バターやマーガリンそのものだけでなく、パンやお菓子などの食品からもトランス脂肪酸を摂取する可能性があります。

食事とトランス脂肪酸

1.3.トランス脂肪酸の健康への影響とは?

トランス脂肪酸が健康に与える影響は、大量に摂取すると心臓の病気のリスクを高めることです。
この理由として、トランス脂肪酸を過剰摂取することで血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増加し、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が減少することが知られています。

善玉悪玉コレステロール

血液中の悪玉コレステロールが増加し、一方で善玉コレステロールが減少すると、血管内にコレステロールの塊のようなものが生まれます。
これによって心臓への酸素が供給されにくくなり、狭心症や心筋梗塞といった「冠動脈疾患」が引き起こされやすくなるとされているのです。

コレステロールと心臓病

WHO(世界保健機関)はこうした健康に対するリスクを抑えるため、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%よりも少なくするよう勧告をしています。
なお、ヒトの年齢・性別で換算したトランス脂肪酸換算量は以下のようになります。

年齢 トランス脂肪酸換算量(g/1日)
男性 女性
0~2歳 0.6~1.1 0.6~1.0
3~9歳 1.4~2.1 1.4~1.9
10~17歳 2.5~3.1 2.3~2.6
18~49歳 2.9~3.0 2.2~2.3
50~74歳 2.7~2.9 1.8~2.1
75歳以上 2.3 1.8

日本人の食事摂取基準(2020年版)をもとにトランス脂肪酸のエネルギーを(9kcal/g)として算出 (身体活動レベル「ふつう」の場合)

2.食品中のトランス脂肪酸の量は?食べ過ぎはどれくらい?

では、トランス脂肪酸は食品中にどの程度含まれているのでしょうか?

実は、一般消費者が個別の食品のトランス脂肪酸含有量を知る方法は、日本国内にはありません。
アメリカ、カナダ、中国、韓国などの一部の国では、食品中のトランス脂肪酸の表示義務はありますが、日本ではそのような取り決めはないのです。

トランス脂肪酸の表示義務がないのなら、私たちは知らないうちにトランス脂肪酸を摂りすぎていないかと、不安になる方もいらっしゃると思います。

そこで2014-15年に農林水産省が実施した、食品分類別のトランス脂肪酸含有量を紹介します。

分類 食品名 100g中のトランス脂肪酸含量(g) 過剰摂取にあたる量
(/1日)
パン類 食パン 0.03 167枚
ロールパン 0.1 100個
クロワッサン 0.54 14個
菓子パン 0.18 17個
菓子パイ 0.58 5個
アップルパイ 0.27 9個
デニッシュ 0.27 11個
ケーキ類 ショートケーキ 0.42 7個
スポンジケーキ 0.05 24個
半生ケーキ 0.17
18個
ドーナツ 0.3
20個
お菓子類 シュークリーム 0.19 20個
ポップコーン 0.15 20袋
米菓 0.2 15袋
ビスケット 0.14 21ケース
クッキー 0.19 16ケース
クラッカー 0.07 43ケース
スナック類 0.25 12袋
プリン 0.13 23個
チョコレート 0.19 32枚
食事等
即席めん 0.1 30袋
マヨネーズ 0.95 0.7本
マーガリン 0.99 2カップ
バター 1.95 0.8箱
植物油脂 0.91 大さじ22杯
ドレッシング 0.51 2本
ルウ(カレーなど)
0.52
6ケース

平成26・27年度調査結果(農林水産省)より 過剰摂取量は各食品のトランス脂肪酸中央値と1食分量(g)から算出

上の表から分かるように、実際に過剰摂取となるトランス脂肪酸を摂るには、かなり大量の食品を食べる必要があります。

2.1.日本人のトランス脂肪酸摂取量は少ない

国は2012年に大規模な調査を行っており、日本人はそもそもトランス脂肪酸の摂取量が少ないことを確認できています。

日本人の総エネルギー摂取量中のトランス脂肪酸摂取量は、平均で0.3%であり、これはWHOの推奨する摂取量の1%を大幅に下回っています。
こうした結果から、日本の一般的な食生活ではトランス脂肪酸の過剰摂取は起こりにくいと考えられており、トランス脂肪酸の規制をあえて行っていないのが現状です。

参照:食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価について(食品安全委員会)

2.2.マーガリンのトランス脂肪酸は大きく低減している

さらに近年では、食品全体のトランス脂肪酸含有量は減少傾向にあります。

第1章ではトランス脂肪酸の由来のひとつとしてマーガリンを紹介しましたが、現在は原料や製法の改良によりマーガリンのトランス脂肪酸含有量は大幅に低減しています。

トランス脂肪酸の低減

これに関連して、マーガリンを原料として使うパンやお菓子にも同様の傾向がみられています。

参照:
【読み物版】生活の中の食品安全−脂質との付き合い方(食品安全委員会)
平成18・19年度調査結果平成26・27年度調査結果(農林水産省)

まとめますと、トランス脂肪酸は油脂を含む食品に含まれますが、日本人の食生活は元々トランス脂肪酸摂取量が少なく、さらに食品業界でトランス脂肪酸の低減を推し進めているため、過剰摂取は起こりにくいといえます。

さいごに~安心して食事を楽しむために~

いかがでしたか?
本記事の内容を通して、トランス脂肪酸への不安を少しでも払拭していただけたら幸いです。
これからはトランス脂肪酸について過剰に意識せず、食事を楽しんでいただけたらと思います。

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