植物油脂とはどんな油?油脂メーカー研究員が食品開発視点で解説

天ぷらなどの揚げ油、炒め油、さらにはオリーブオイルなど、植物油脂は私たちの食生活に欠かせない存在です。
最近では、プラントベース商品の開発にも利用され、食品開発の現場での用途が一段と広がっています。
一方、加工食品のパッケージなどに記載されている「植物油脂」という表記を見て、「具体的にどのような油なんだろう?」と疑問を持たれる方も少なくないでしょう。
本記事では、植物油脂の基礎知識、種類ごとの特性、食品開発における活用法、健康への影響、取り扱いのコツまで、油脂メーカーの研究員ならではの視点でわかりやすく紹介します。

1.植物油脂の基礎知識

第1章では、食品開発の現場で広く使われる植物油脂について、基本を整理します。

1.1.植物油脂は植物から採れる油脂

植物油脂は、菜種・大豆・パームなど様々な植物から得られる油脂のことを指します。
種子や果肉を搾ることで抽出されます。

 植物油脂と動物油脂

図1.1 油脂の種類

それぞれの植物油脂は、酸価安定性や生産性、独特の風味など、原料植物によって特徴が異なります。
そのため、加熱調理に強いもの、加工食品の原料として扱いやすい物性や他の原料の風味を引き立てるものなど、求められる機能に合わせて原料油脂の選択と工夫をしています。

1.2.油が採れる植物の部位

植物油脂は、種子、胚芽、果肉など、さまざまな部位から得られます。
代表例は下記の通りです。

(※1)こめ油:玄米を精米する際に生じる米ぬか(内皮と胚芽)より抽出。
(※2)ヤシ油:ココヤシの胚乳(図の白い部分)を乾燥させたコプラから抽出。
(※3)パーム油:パームヤシの果肉(図のオレンジの部分)から抽出。
(※4)パーム核油:パームヤシの種子(図の白い部分)から抽出。

図1.2 植物油脂の利用部位

2.植物油脂の種類と特徴

目的に応じて使い分けることで、食品開発の品質向上や新しい価値の提案につながります。
第2章では、主な植物油脂の特徴をまとめます。

大豆油
大豆 大豆から油を搾ります。
パーム油に次いで、世界で2番目に多く生産されています。
独特のうまみとコクがあり、サラダ油や揚げ油として広く用いられる他、マーガリンやショートニングなどの原料としても使用されます。
菜種油(キャノーラ油)
菜種 菜の花の種子から油を搾ります。
日本国内で最も供給量が多い食用油です。
あっさりとした風味が特徴で、サラダ油や揚げ油などの調理用で広く用いられる他、加工用原料油として幅広く利用されています。
とうもろこし油(コーン油)
とうもろこし コーンスターチを製造する際、副産物として得られる胚芽(成長すると芽になる部分)から油を搾ります。
コクのある香ばしい風味を持ち、サラダ油や揚げ油など広く使われる他、マーガリンやショートニングなどの原料としても使用されます。
綿実油
綿実 綿を取った後の綿花の種子の核から油を搾ります。
風味がよく、ビタミンEが豊富です。
高級サラダ油、揚げ油として用いられる他、マーガリンやショートニングなどの原料としても使用されます。
米油
米ぬか 米ぬかから油を搾ります。
独特の香ばしい風味を持ち、酸価安定性に優れています。
そのため、あられやせんべい、ポテトチップスやかりんとうなど幅広い揚げ菓子の製造に使用されます

べに花油(サフラワー油)
べに花の種子 べに花の種子から油を搾ります。
あっさりした風味でビタミンEが多く、高級油として贈答用に使用されます
ひまわり油
ひまわりの種子 ひまわりの種子から油を搾ります。
あっさりした風味でサラダ油、揚げ油などに使用されています。
一部のひまわり油は化粧品にも利用されています。
落花生油
落花生 落花生の種子から油を搾ります。
落花生特有の香ばしい香りが特徴です。
加熱する調理に適し、特に中華料理やフランス料理に使用されます
オリーブ油
オリーブ オリーブの果肉から油を搾ります。
独特の風味が特徴です。
オリーブの実を搾ったそのままのオイルを「バージンオイル」といい、そのうち最高品質のものを「エクストラバージンオイル」といいます。
ごま油
ごま 一般的にはごまを焙煎し、独特の香ばしい香りと色を出してから油を搾ります(焙煎なしのごま油もあります)。
風味付けとして、中華料理や和風総菜などに使用されます
ぶどう油(グレープシードオイル)
ぶどう ぶどうの種子から油を搾ります。
淡黄・淡緑色で、さっぱりとした風味が特徴です。
パーム油・パーム核油
パーム パーム油はパームヤシの果肉、パーム核油はパームヤシの種子からとれる淡泊な風味の油です。
世界で最も生産量の多い油で、加工食品や総菜の揚げ油、マーガリンやショートニングの原料など、幅広く使用されます
カカオ脂(ココアバター)
カカオ カカオの種子からとれるチョコレートの原料になる脂です。
ヤシ油(ココナッツオイル)
ヤシ ココヤシ(ココナッツ)の胚乳(写真の白い部分)からとれる油で、菓子の原料として使用されたりドレッシングやバターの代わりに生食で使用されます。

図2 代表的な植物油脂の特徴

【参考文献】

公益社団法人 日本油化学会「油脂・脂質の基礎と応用 ー栄養・健康から工業までー 改訂第2版」
農林水産省「油糧生産実績調査
農林水産省「食料安全保障月報(旧海外食料需給レポート) 我が国と世界の油脂をめぐる動向
一般社団法人 日本植物油協会「最近の植物油を巡る動向について-資料集-

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3.植物油脂の健康効果

油脂にはさまざまな健康効果が期待されています。
第3章では次の3点について着目します。

  1. 食用油脂共通の効果
  2. 植物油脂特有の効果
  3. 油脂ごとの特徴的な成分に由来する効果

3.1.食用油脂共通の効果

植物油脂には共通して以下のような健康促進効果があります。

食用油脂に共通する健康促進効果

図3.1 食用油脂に共通する健康促進効果

①効率のよいエネルギー源になる
脂質は1gあたり9kcalと、炭水化物やタンパク質(4kcal/g)よりも少量でも効率的にエネルギー供給が可能です。

②栄養素の供給・取り込みを助ける
油脂に含まれる必須脂肪酸(※)は健康の維持に必要不可欠な機能を持っており、欠乏すると皮膚炎や発育障害などの症状が現れます。
また、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンは、油脂と一緒に摂取すると吸収が高まり、より効率的に栄養を取り込めます。
※必須脂肪酸:体内で作ることができず、食物から摂取しなければならない脂肪酸

③栄養素の破壊や流出・調味料の過剰摂取を抑える
油脂を使った調理は短時間で加熱できるため、ビタミンCなど熱に弱い性質の栄養素の破壊を最小限に抑えます。
また、ビタミンB1といった水溶性ビタミンは煮たり茹でたりするよりも、油で調理する方が食品中の残存率を高めることができます。
さらに、油脂を使って調理をすると素材の味が引き出されコクが増し、塩分を控えめにすることが可能です。

3.2.植物油脂特有の効果

植物油脂には特有の健康効果があります。

図3.2 植物油脂特有の健康促進効果

①ビタミンEの供給源
植物油脂には「老化防止ビタミン」として知られるビタミンEが豊富に含まれています。
ビタミンEは過酸化脂質の生成を抑制し、脂質の酸化を防ぐ役割を果たします。

②コレステロールの吸収阻害効果
植物油脂には植物ステロールが含まれており、これを一定量摂取することでコレステロールの吸収を抑制する効果があることが知られています。
これにより、動脈硬化などのリスクを軽減する作用が期待されています。

3.3.油脂ごとの特徴的な成分に由来する効果

油脂ごとの異なる特徴的な成分にはさまざまな効果があります

①ビタミンE含量に由来するもの
②不飽和脂肪酸の種類と量に由来するもの
③その他

特徴的な成分と効果については以下の通りです。

①ビタミンEの量
3.2.で、植物油脂には、ビタミンEが豊富に含まれてることをお伝えしました。
しかし、その含有量は油脂の種類によって異なります。
特に含有量が多い油脂は以下の通りです。

ビタミンEが多い油脂
効果 ・体内の脂質の酸化を防ぐ
・過酸化脂質の生成を抑える

油脂名

とうもろこし油
(コーン油)
綿実油 べに花油
(サフラワー油)
とうもろこし 綿実 べに花の種子
ひまわり油 こめ油
ひまわりの種子 米ぬか

図3.3.1 ビタミンEの健康促進効果と多く含む油脂

 

②不飽和脂肪酸の種類と量
植物油脂は不飽和脂肪酸を多く含み、そのいくつかは必須脂肪酸としての機能を持ちます。
植物油脂に特に多く含まれる不飽和脂肪酸は、以下の3つです。

  • オレイン酸
  • リノール酸
  • リノレン酸

上記3つの不飽和脂肪酸の健康効果と多く含む油脂は以下の通りです。

オレイン酸が多い油脂
効果 ・血中LDL(悪玉)コレステロールを減少させる
・生活習慣病を予防、改善する
・便秘を改善する
油脂名 菜種油
(キャノーラ油)
べに花油
(サフラワー油)
(ハイオレイックタイプ(※5))
菜種の種子 べに花の種子
ひまわり油
(ハイオレイックタイプ(※5))
オリーブ油
ひまわりの種子 オリーブ

図3.3.2 オレイン酸の健康促進効果と多く含む油脂

リノール酸が多い油脂
効果 ・必須脂肪酸
・動脈硬化を予防する
・血中LDL(悪玉)コレステロールを減少させる
油脂名 大豆油 とうもろこし油
(コーン油)
綿実油
大豆 とうもろこし 綿実
べに花油
(サフラワー油)
(ハイリノールタイプ(※5))
ひまわり油
(ハイリノールタイプ(※5))
ぶどう油
(グレープシード
オイル)
べに花の種子 ひまわりの種子 ぶどう

図3.3.3 リノール酸の健康促進効果と多く含む油脂

リノレン酸が多い油脂
効果 ・α-リノレン酸は必須脂肪酸
・アレルギー症状を緩和する
・体内の脂質の酸化を防ぐ
・高血圧を予防する
油脂名 大豆油 菜種油
(キャノーラ油)
大豆 菜種の種子

(※5)べに花油(サフラワー油)とひまわり油の原料になる種子の品種には、オレイン酸が多いハイオレイック種とリノール酸が多いハイリノール種があります。ハイオレイック種から得られた油をハイオレイックタイプ、ハイリノール種から得られた油をハイリノールタイプといいます。

図3.3.4 リノレン酸の健康促進効果と多く含む油脂

③その他
特定の植物が持つ栄養成分が油に含まれていたり、特殊な脂肪酸を持つ油脂があります。
代表的なものを図にまとめました。

その他
効果 セサミン 類 γ-オリザノール 中鎖脂肪酸
・抗酸化作用
・コレステロール
低下作用
・血圧低下作用 等
・コレステロール
低下作用
・内分泌、自律神経
調整作用 等
・脂肪として蓄積
されにくい
・生活習慣病の
予防、改善
油脂名 ごま油 米油 ヤシ油
(ココナッツオイル)
ごま 米ぬか やし

図3.3.5 特定の栄養素を多く含む油脂

このように、植物油脂には多くの健康効果が期待できます。
一方、どの油脂も過剰に摂取すると体に負担となる恐れがあるため、バランスを考えて適度に摂取することが重要です。

【参考文献】
丸善出版株式会社 食品機能学-脂質-
幸書房 油脂の特性と応用
朝倉書店 ゴマの科学

4.調理シーン別おすすめの使い方

調理シーンにおいて油脂はさまざまな使用方法があります。
第4章では、第2章でお伝えした油脂の特徴や、筆者が実際に試してみた経験をもとに、油脂ごとのおすすめの使い方をわかりやすくご紹介します。

図4 植物油脂のおすすめの使い方

  • 菜種油(キャノーラ油)やとうもろこし油(コーン油)、米油などは、大豆油と比較し加熱劣化に強い油脂であり、揚げ物や炒め物などの火を使う料理に向いています。
  • オリーブ油自体は揚げ物に使うことができますが、精製度の低いエキストラバージンオリーブオイルは発煙点(加熱したときに煙が出はじめる温度)が低いため注意が必要です。
  • オリーブ油やごま油などの独特の風味が特徴の油脂は熱によって香りが飛んでしまうため、火を入れすぎないことがポイントです。
    最低限の量の油で炒め、仕上げに生の油をかけると香りも味わうことができます。
  • パーム油はフライ等の揚げ物をカラッと揚げることには向いていますが、低温で固まりやすい性質があるため、炒め物に使うとできあがって時間が経過したときに舌ざわりが悪くなることがあります。
  • 落花生油やヤシ油(ココナッツオイル)は低温で固まりやすいという性質があり、冷製のドレッシングやソースに使う際は注意が必要です。
    ヤシ油(ココナッツオイル)は固体状のものをバターの代わりにパンに塗るなど、独特の風味を楽しむ食べ方もあります。

5.おわりに

本記事では、植物油脂について、基礎知識から健康効果、おすすめの使用方法まで幅広く解説してきました。
植物油脂は、私たちの食生活を豊かにするだけでなく、食品開発の可能性も大きく広げてくれる頼もしい存在です。
原料となる植物の種類や部位によって、異なる風味・栄養特性を持ちます。
弊社では、用途やお客様が求められる機能に応じて、さまざまな食用加工油脂製品を開発し、幅広く取り揃えております。
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