スポンジケーキが膨らまない|研究員が教える失敗しない9つのコツ

スポンジケーキは、ショートケーキに代表されるような洋菓子のベースとなる重要なパーツです。
泡立てた卵に砂糖・小麦粉・油脂などを合わせ、空気をたっぷり含ませてふんわりと焼き上げる生地の一種といえます。

このスポンジケーキをきめ細かく、ふんわりと焼き上げることは容易ではなく、スポンジケーキ作りにおける最も一般的な課題は「膨らまない」ということがあげられます。

この記事では、スポンジケーキ用製品の研究開発に15年以上携わってきた筆者の経験から、ふんわりと膨らんだスポンジケーキを焼くためのコツと、うまく膨らまない原因について解説します。
スポンジケーキがうまく膨らまずに困っている方やスポンジケーキを使った製品開発のお役に立てれば幸いです。

月島食品グループの総合製品カタログのダウンロードはこちら>>>

1.スポンジケーキはなぜ膨らむのか?

スポンジケーキを膨らませるためには、スポンジケーキの製造工程と原料を理解することがとても重要です。
この章では、スポンジケーキが膨らむ仕組み(メカニズム)と、製造工程と原料の役割をお伝えします。
ここをしっかりと理解することで、スポンジケーキがなぜ膨らまないのか?という原因がわかり、対策を立てふんわりと膨らんだスポンジケーキを焼くことができるようになるでしょう。

1.1.スポンジケーキが膨らむ仕組み

スポンジケーキはどのようにして膨らむのでしょうか?
スポンジケーキは、卵の泡立つ性質(起泡性といいます)を利用し、生地中にたっぷりの気泡を含ませます。
この生地に含まれる気泡と生地中の一部の水分が加熱され、熱膨張や水蒸気に変化することで体積が大きくなります。

さらに卵や小麦粉中のたんぱく質が熱変性し、大きく膨らんだ生地を支える骨格となります。

スポンジケーキを膨らませるためには、卵を泡立て空気を取り込むことがとても重要です。
しかし、できた泡(気泡)はとても不安定で、すぐに壊れてしまいます。
卵を泡立て、できた気泡を壊さず保持するためには、スポンジケーキの製造工程や使用する原料が大きな役割を果たします。
気泡を壊さずスポンジケーキを膨らませるために大切なコツを2章でお伝えします。

参考文献:科学でわかるお菓子の「なぜ?」(柴田書店)

1.2.スポンジケーキの基本の製法

卵に砂糖を加え泡立て、小麦粉、バターなどの油脂を加えて作られるスポンジケーキは、卵の泡立て方によって大きく2つの製法に分けられます。

  • 全卵を泡立てる共立て法
    きめが細かく、口どけ、口ほぐれの良い食感が特徴
  • 卵白と卵黄を別々に泡立ててから合わせる別立て法
    大きな気泡を抱いており、ふわふわとしながらも弾力のある食感が特徴

どちらの製法にも共通しているのが、以下の2つの工程です。

  • 卵を泡立てる
  • 小麦粉や油脂を混ぜ合わせる

この2つの工程は、スポンジケーキ作りにおいてとても大切なポイントです。
この工程のコツをしっかり掴むことで、スポンジケーキの成功率が格段にあがります。

2.なぜ失敗する?スポンジケーキが「膨らまない」理由と解決策

スポンジケーキ製造において、最も多い悩みは「高さが出ない」「膨らまない」ということです。
スポンジケーキの膨らみのメカニズムは、主に卵の起泡性によって生地中に取り込まれた気泡が、オーブン加熱時に熱膨張し、水蒸気とともに生地の体積を増大させる点にあります。
ここでは気泡不足・気泡破壊・焼成条件の3つの視点から原因を科学的に捉え、その対策をまとめています。
ただし、失敗には他にも、卵の温度や砂糖量などさまざまな要因が関わっていることも忘れてはいけません。

2.1.卵の泡立てが不十分で気泡量が不足する場合

卵の泡立てが十分でないと、生地中に取り込まれる空気量も不十分となり、しっかりとした膨らみが得られません。
特に、卵の温度が低い、起泡スピードが不適切、あるいは、砂糖の配合量が適正でない場合には、気泡量不足や気泡の安定性の低下が起こりやすくなります。

2.2.気泡が壊れている場合

形成された気泡はとても不安定で、小麦粉や油脂を丁寧に混ぜないとすぐに壊れてしまいます。
一度壊れた気泡は、あとから元に戻ることはありません。
小麦粉や油脂の加え方、撹拌の程度、ミキサーボウルの底まできちんと撹拌できているか、添加する油脂の状態など細かな作業の積み重ねが仕上がりを大きく左右します。

2.3.焼成不足の場合

焼成不足となる原因として、オーブンの設定温度が適切でないこと、焼成途中で扉を開閉すること、焼成時間が不足していることなどが挙げられます。
焼成が足りないと中心部に十分な火が通らず、萎んでボリュームが出なくなります。
また、水分蒸発が不十分で生地がやわらかいうちに扉を開閉すると、扉解放時に温度が下がり、生地中の空気や水蒸気の体積が急減することで組織が引っ張られて萎んでしまいます。

3.スポンジケーキを膨らませるための9つのコツ

3章では、スポンジケーキを安定してふんわりと膨らませるための次の9つのコツをお伝えします。
本記事では、「卵を泡立てること」と「気泡を壊さないこと」の2点に着目しています。

  1. 卵をしっかり泡立てる
  2. 気泡を壊さないようにする
  3. 適正な生地比重を設定する
  4. 適正な焼成条件を設定する
  5. オーブンから出すときに適度な「ショック」を与える
  6. 適正なレシピを設定する
  7. 適正な卵の配合量を設定する
  8. 適正な砂糖の配合量を設定する
  9. 起泡性乳化脂を使う

3.1.工程編

本章では、スポンジケーキの工程におけるコツをお伝えします。

コツ1 卵をしっかり泡立てる

スポンジケーキを膨らませるために一番大切なポイントは、卵をしっかりと泡立たせることです。
卵が泡立つ性質のことを「起泡性」といいます。
スポンジケーキはこの卵の起泡性を利用して生地を膨らませます。
しっかり泡立てる目安は次の通りです。

  • 生地が白っぽくなり、ツヤがあり気泡が小さく均一に揃っている
  • 生地をすくってたらした時に、生地の跡がしっかり残る

一目でわかる!卵をしっかり泡立てた生地の見極め方

泡立てた生地に爪楊枝を1.5~2㎝の深さまで差し込み、爪楊枝が倒れなければ、しっかり泡立った状態といえます。
※上記は目安であり、レシピによって生地状態が異なる場合があります。
卵がしっかり泡立った状態

コツ2 気泡を壊さないようにする

気泡はとても不安定であっという間にシュワシュワと音を立てるように壊れてしまいます。
また、泡立てた後に加える小麦粉や油脂は気泡を壊す働き(消泡性)があります。
しかし、油脂はスポンジにソフトな食感や、良好な風味を付与するなど、とても大切な役割があります。
その反面、気泡が壊れてしまっては、スポンジケーキは大きく膨らみません。
気泡を壊さないように、丁寧かつ素早く小麦粉や油脂を加えましょう。

溶かしバターやマーガリンを加える時の温度の目安は約50℃

バターやマーガリンは温度によって状態が変わります。
温度が低いと、粘度が高く生地に分散しにくいため気泡が壊れやすくなります。

特に、固形の油脂は気泡を壊しやすいため、完全に溶かしてから生地へ加えることが重要です。

右の写真は、一見、油脂が全て溶けているように見えますが、一部固形の部分が残っており、完全に溶解したとは言えない状態です。

左の写真のように約50℃まで加温し、完全に溶解した状態で生地に添加しましょう。

バターやマーガリンを加えた後の生地温度は、25℃前後が気泡が壊れにくく安定しやすいとされています。
油脂を加えた後の生地温度が25℃前後となるように卵の温度を調整すると良いでしょう。

油脂を加えた後は、気泡を壊さないように、素早くできるだけ少ない回数で撹拌し生地に馴染ませることが大切です。

固形の油脂より気泡を壊しにくい液体油脂を使うことも一つの手段です。

月島食品がオススメするケーキ用液体油脂

ゼノア
しっとりとしたスポンジができるケーキ用液体油脂です。

気泡を消泡させにくい設計です。
また、コーン油を使用しており、素材本来の風味を活かしたケーキを作ることができます。

ゼノア 製品写真

 

しっとりとしたスポンジができるケーキ用液体油脂「ゼノア」のサンプルご依頼はこちら>>>

月島食品グループの総合製品カタログのダウンロードはこちら>>>

コツ3 適正な生地比重を設定する

「生地比重」とは、スポンジケーキ生地がどれだけ空気を含んでいるかを表します。
最終的な生地比重をどのように設定するかで、生地のボリュームと食感に違いが生まれます。
スポンジ生地の場合、比重の値が小さいほど、気泡を多く含んでいるため、ボリュームが出やすくなります。
ただし、比重が小さくなりすぎると抱え込んだ気泡を保持しきれずに、焼成後に萎んでしまう場合もあります。

生地比重の目安は以下の通りです。

共立て法
卵と砂糖で泡立てた状態の比重 0.25前後
最終生地比重 0.45前後
別立て法
メレンゲの比重 0.15前後
最終生地比重 0.35前後

生地配合や求めるスポンジケーキの状態により適正な比重は異なりますので、それぞれに合わせた値を設定しましょう。

コツ4 適正な焼成条件を設定する

オーブンの温度が低いと、生地に伝わる熱量が少ないため大きく膨らみません。
また、焼き上がったスポンジケーキの表面にしわが寄っていたり、萎んでしまった場合には、焼成時間が短い、もしくは焼成時間が長すぎることが原因と考えられます。
使用するオーブンの特徴を掴み、適正な焼成条件(温度と時間)を設定しましょう。

コツ5 オーブンから出すときに適度な「ショック」を与える

また、大きく膨らんだスポンジケーキを焼き上げるためには、オーブンからの出し方も大きなポイントとなります。
焼成したスポンジケーキは、オーブンから出してすぐに台の上から10cmくらいの高さから、型を台の上に打ち付け、「ショック」を与えましょう。
焼きあがった直後のスポンジには、水蒸気が多く含まれており、約180℃のオーブン内部から急に室温に出されることにより、温度が下がって水蒸気が収縮します。
その時に、柔らかいスポンジケーキも一緒に収縮し、崩れてつぶれてしまうのです。
これを防ぐために、オーブンから取り出してすぐに、台に打ち付け、衝撃(ショック)を与え、内部の水蒸気を少しでも早く出すのです。
ただし、強く打ち付けすぎると、その衝撃で崩れてしまうので、適度な衝撃を与えることが大切です。
焼成直後と焼成10分後のショックあり・なしのスポンジケーキの写真

3.2原料編

本章では、スポンジケーキのレシピ設定のコツをお伝えします。

コツ6 最適なレシピを設定する

共立て法、別立て法で作るスポンジケーキの一般的なレシピは以下の通りです。

【共立て法】

原料 配合(%)
全卵 200
砂糖 100
小麦粉 100
油脂 20

       ベーカーズパーセント(対粉%)表記
(粉に対するその他の原料が配合されている割合)

【別立て法】

原料 配合(%)
砂糖 60
全卵 20
卵黄 60
卵白☆ 120
砂糖☆ 60
小麦粉 100
油脂 10

☆でメレンゲを作ります

ベーカーズパーセント(対粉%)表記
(粉に対するその他の原料が配合されている割合)

どの原料も適正な量を守ることが安定した膨らみに繋がります。
うまく膨らまないときは、レシピを見直しましょう。
コツ7~9で詳細をお伝えします。

コツ7 適正な卵の配合量を設定する

卵の起泡性は、スポンジケーキを膨らませるための最も大切なポイントです。
卵が足りないと、起泡性が足りず、大きく膨らみません。
ただし、卵が多すぎると、卵由来の水分が多すぎたり、気泡を抱え込みすぎて支えることができず、オーブンから出した後に萎んでしまうこともあります。
求めるスポンジケーキに合わせ、適正な量の卵(対粉120~200%前後)を添加しましょう。

コツ8 適正な砂糖の配合量を設定する

砂糖はスポンジケーキの甘味に寄与し、美味しさの面で欠かすことのできない原料です。
また、砂糖は保水性が高く、食感をしっとりさせる効果があります。
その他にも、砂糖にはスポンジケーキにおいて様々な役割があります。

砂糖の配合量の違いによる生地状態・ボリュームへの影響

 

全卵に対する砂糖の配合量を変え、スポンジケーキへの影響を比較しました。
全卵の配合量を対粉180%に固定し、砂糖の配合量を下記の3つの条件に設定しスポンジケーキを焼成しました。

・不足 (対粉  40%:全卵量の約  20%)

・適量 (対粉120%:全卵量の約  65%)

・過剰 (対粉270%:全卵量の約150%)

 

 

・不足:焼き固まるのが速すぎて、ボリュームが出ません。

・適量:適度な速さで焼き固まるので、ボリュームが出ます。

・過剰:焼き固まるのが遅延しすぎて、沈み込みが発生する可能性があります。

砂糖の特性に由来する以下の主な3つの要因により、砂糖の配合量は、スポンジケーキの生地状態および最終ボリュームに大きく影響します。

  • 生地中のデンプンの糊化およびたんぱく質の熱変性(凝固)を抑制する作用があり、これにより、ケーキ生地が焼き固まる温度帯が高温側へシフトします。
    その結果、焼成中期~後期に焼き固まりにくく、気泡の膨張が持続するため、ボリュームアップ効果が期待できます。
  • 砂糖を過剰に配合すると、砂糖とデンプンの間で水の競合(自由水の取り合い)が生じ、デンプンの水和・膨潤が阻害されます。
    また、デンプンの糊化開始温度およびピーク温度が上昇し、通常の焼成条件では生地内部まで十分に糊化・凝固が進みにくくなります。
  • たんぱく質組織中で水を保持し、たんぱく質の凝固を遅延させます。
    これにより、中心部はやわらかく粘りのある状態を長く保ち、焼成条件や配合によっては内部が生焼けのような食感になったり沈み込んだりする場合があります。

甘さを控えめにしてヘルシーさを重視したスポンジケーキや、しっとりとした食感を強調したスポンジケーキを作る場合など、砂糖の配合量の増減には注意が必要です。
適正な砂糖の量(卵の量に対して50~100%)を添加しましょう。

コツ9 起泡性乳化脂を使う

起泡性乳化脂とは、卵の起泡力、生地の安定性を高めるための機能性素材です。
高い起泡力により、ホイップ時間を短縮したり、生地の安定性を向上させる、スポンジケーキの製法の1つであるオールインミックス法を可能にし、仕込みの簡略化につながるなど、大量生産の場には欠かすことのできない素材です。

大量生産には欠かせない製法|オールインミックス法とは?

 

オールインミックス法とは、その名の通り、全ての原料を一度にホイップする製法です。

起泡性乳化脂の力により、小麦粉や油脂も合わせてホイップすることができます。

小麦粉や油脂を後から混ぜ合わせる工程がなく、安定したスポンジケーキを作ることが簡便になり、大量生産が可能になります。

弊社では、用途や条件に応じた起泡性乳化脂を多く取り揃えています。
その一部をご紹介します。

================================================
◎月島食品がオススメする起泡性乳化脂

クレマトルテ
高いホイップ力を備えた、高機能タイプの起泡性乳化脂です。
ソフトで口どけの良いスポンジケーキを作ることができます。

クレマトルテ 製品写真

パホーマーG
様々なタイプのスポンジケーキに対応できる起泡性乳化脂です。
後粉法(※)、オールインミックス法のいずれにも対応し、作業性を改善します。
パホーマーG製品写真

月島食品がおすすめする起泡性乳化脂「クレマトルテ」「パフォーマーG」のサンプルのご依頼はこちら>>>

月島食品グループの総合製品カタログのダウンロードはこちら>>>

※後粉法とは?

スポンジケーキの製法の1つです。
後粉法は、共立法と同様に全卵と砂糖をホイップし、後から小麦粉と油脂を加えます。
全卵と砂糖をホイップする際に起泡性乳化脂を添加する製法です。
起泡性乳化脂の力により、起泡性と生地の安定性が向上し、大量生産が可能になります。

4.まとめ

スポンジケーキ作りの成功には、各工程や原料の役割を科学的に理解することが欠かせません。
「どうしてこんな工程が必要なのか」「なぜこのやり方でないとうまくいかないのか」といった疑問に納得できるまで向き合うことが、確かな技術につながります。

また、日々の失敗や思いがけない出来事を丁寧に振り返って記録し、そこから対策を練ることも重要です。
理論と実践の両方からアプローチして、より安定した製造を目指しましょう。

食品開発でお困りの方はご相談ください!業務用無料サンプルもあります

食品開発でお困りの方はご相談ください!業務用無料サンプルもあります

新商品開発や原料探しでお困りではありませんか?
バターの代替品を探している、コクが付与できる素材が欲しい、レトルトをかけても白さを保つクリームは無いか?など食品開発に関するお悩みがありましたら、ぜひ弊社にご相談ください。

弊社では、下記のような幅広いカテゴリーの製品を取り揃えております。

  • マーガリン
  • ショートニング
  • ホイップクリーム
  • フィリング
  • 機能性素材
  • チョコレート
  • 冷凍生地

※取り扱い製品の詳細はこちらからご覧いただけます。

どの製品を使えばいいかわからないという場合も、使用用途や開発のお悩みなどをご教示いただけましたら、最適な製品をご提案させていただきます。
試しに使ってみたいという方向けに、業務用無料サンプルもございます。
ぜひお気軽にお申し込みいただき、新商品開発やレシピの見直しなどにご活用ください。

よくある質問

季節や湿度によって「膨らまない」といった個体差は出ますか?

はい。季節や湿度の変化は、スポンジケーキの膨らみに顕著な影響を及ぼします。

・冬場の影響
卵や小麦粉といった原料自体の温度が低くなり、また作業環境の室温も下がることで、最終的な生地温度が低く仕上がる可能性があります。
生地温度や外気温の影響を受け、焼成不足となり、生地の膨らみが不十分になる可能性があります。

・夏場の影響
夏場、卵の起泡は早くなる傾向がありますが、卵の水分量が増えるため、気泡が粗く、安定性が落ちてしまうため、焼き上がりのきめ細やかさが損なわれやすくなります。

・湿度の影響
湿度が高い環境では、小麦粉が空気中の水分を吸収しやすくなります。
その影響でダマが発生しやすくなり、粉合せの工程において気泡が壊れるリスクが高まります。
一方、湿度が低い時期には、小麦粉がサラサラとした状態を保ちやすく、分散性が良好になります。
このため、粉合せの工程でも手早く均一に混ざり、気泡を維持しやすくなります。
しかし、乾燥した小麦粉は水分含有率が相対的に低くなるため、レシピ通りの水分量では生地が硬くなってしまうことがあります。
これらを踏まえ、どの季節でも最終的な生地温度を維持し、原料の温度や粉の状態管理を徹底することが、安定した膨らみと品質を保つためには重要です。

ベーキングパウダーを使用せずに、安定して高さを出す方法はありますか?

はい。
別立て法では、一般的にベーキングパウダーを使用せず、卵黄と卵白に分け、卵白をしっかりとメレンゲ状に泡立てることで十分な膨らみが得られます。
卵白の泡立てによって生地の気泡保持力と伸展性が高まり、安定したボリュームが実現します。
別立て法ではもちろんですが、共立て法においても、泡立てた気泡のキメを保ち、粉を混ぜ合わせる際に気泡を壊さないことが最大のポイントです。

焼き上がりの「側面の凹み」を防ぐにはどうすればよいですか?

・適切な焼成条件を設定する
中心部までしっかりと火が入っていないと、焼成後に生地の骨格が固まっておらず、型から外した際や粗熱をとる段階で側面が沈み込むことがあります。

・適切な生地比重を設定する=生地の比重を小さくしすぎない
比重を小さくしすぎると、生地が抱え込む気泡量が過剰となり、焼成後の水蒸気の収縮に生地骨格が耐えられず縮んでしまう場合があります。生地配合に合った比重を設定し比重管理を行いましょう。

・オーブンから出すときに適度な「ショック」を与える
焼きあがった直後のスポンジには、水蒸気が多く含まれており、約180℃のオーブン内部から急に室温に出されることにより、温度が下がって水蒸気が収縮します。
その時に、柔らかいスポンジケーキも一緒に収縮し、側面も凹んでしまいます。
オーブンから出した直後に型ごと台に軽く打ち付けて適度なショックを与え、内部の熱い水蒸気を逃がすことが重要です。

適切な焼成条件、最適な配合バランス、ショックの工程をきちんと行うことが、側面の凹み防止のポイントです。

全卵の泡立て不足を、見た目で見極める基準はありますか?

全卵(共立て)の泡立て不足は、主に「色」「粘度」「跡の残り方」で見極めることができます。

※横にスクロールできます。

確認項目 十分な泡立ち 泡立て不足
白っぽい 黄色っぽい
粘度 高い 低く液状に近い
跡の残り方 リボン状に流れ落ち、跡がしばらく残る すぐに馴染んで、跡が残らない

泡立ち具合の簡単な見極め方法:泡立てた生地に爪楊枝を1.5~2㎝の深さまで差し込み、爪楊枝が倒れなければ、しっかり泡立った状態といえます。

デコレーション作業時に生地がボロボロと崩れてしまう原因は?

・生地の構造的なもろさ
焼成不足や卵の泡立て不足、粉投入後の撹拌不足によって、焼き上げたスポンジケーキは、キメが粗く、もろい仕上がりになりがちです。

・冷却不足と取り扱い
焼きたての生地は水分を多く含んでいるため、十分に冷ましてから扱わないと、崩れやすくなります。
また、冷却が不十分で内部が蒸れている場合、ナイフを入れた際に断面がささくれやすくなります。
しっとりと柔らかい生地は丁寧に扱うことが重要です。
押し切りではなく引き切りを意識することで、断面の仕上がりが大幅に改善します。

オーブンのコンベクション(風)が強すぎると膨らみに悪影響はありますか?

はい。
オーブンのコンベクション(風)が強すぎると、スポンジケーキの膨らみや表面状態に悪影響を及ぼします。
特に、強風によって生地の表面が急速に乾燥し、皮張りやひび割れ、中心部のしぼみ、焼き色の偏りなどが発生しやすくなります。
これにより、生地が十分に膨らむ前に表面が固まり、膨らみにくくなります。
コンベクションの風量を「弱」や「風なし」に設定し、焼成温度を通常より下げてじっくり焼くことが効果的です。
表面の乾燥が気になる場合は、直接風が当たらないように、オーブンの位置を工夫する、アルミホイルで型を覆うということも有効な解決策です。