
生地がまるで風船のように膨らむ、特徴的な形のシュークリーム。
シュークリームは「好きなお菓子ランキング」で常に上位にランクインしており、多くの人から愛されるお菓子です。
中でも、シュークリームの外皮部分である「シューパフ」は、お店によって見た目や食感、味にさまざまな特徴があります。
ゴツゴツとした見た目でザクっとした噛み応えのあるタイプ、ふんわりとした見た目でやわらかく、クリームと一緒に口の中ですぐになくなってしまうような口どけの良いタイプ、シューパフにクッキーやパイ生地が組み合わされたタイプなど、バリエーションもさまざまです。
「自分の理想のシュークリームを再現したい」「商品の新規開発や差別化につなげたい」という開発担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、見た目と食感が異なる3種類のシューパフレシピと設計の要となる原材料のポイントを整理して解説します。
目次
1.シューパフのレシピ3選|基本・厚皮・薄皮
1章では基本タイプ、厚皮タイプ、薄皮タイプの3種類のシューパフのレシピと各タイプの特徴をご紹介します。
1.1. 3種類のシューパフの特徴
本章では、基本タイプ・厚皮タイプ・薄皮タイプの3種類のシューパフと、各タイプの特徴を詳しくご紹介します。
- 基本タイプ:標準的なシューパフのレシピで、バランスの取れた見た目と食感
- 厚皮タイプ:見た目はゴツゴツ、食べるとしっかりとした硬さがありザクっとした食感
- 薄皮タイプ:なめらかでやわらかく、口どけの良い食感

厚皮タイプは、ゴツゴツとした見た目、薄皮タイプはなめらかで丸みのある見た目です。

厚皮タイプは皮が厚くしっかりとした硬さがありザクっとした食感、薄皮タイプは皮が薄く、やわらかく口どけが良い食感です。
この3種類のシューパフですが、使用している原材料は、実はほとんど同じなのです。
なぜこのような見た目や食感の違いが生まれるのでしょうか?
この疑問の答えは第2章で詳しくお伝えします。
1.2. 3種類のシューパフのレシピ
この章では1.1.でご紹介した3種類のシューパフのレシピをお伝えします。
| 原材料 | 基本タイプ | 厚皮タイプ | 薄皮タイプ |
| 薄力粉 | 100 | 50 | 100 |
| 強力粉 | - | 50 | - |
| シュー用油脂 | 130 | 100 | 150 |
| 水 | 140 | 140 | 140 |
| 塩 | 0.5 | 0.5 | 0.5 |
| 全卵 | 220 | 200 | 220 |
| ベーキングパウダー(膨張剤) | 2 | 2 | 3 |
ベーカーズパーセント(対粉)表記
(粉に対してその他の原材料が配合されている割合)
家庭や専門店ではバターや一般的なマーガリンを使用することが多いですが、ここでは安定したシューパフを作るため、「シュー用油脂」を使用しています。
シュー用油脂については、シュークリームが膨らまない|油脂メーカーの研究員が教える9つのコツをご覧ください。
今回ご紹介するレシピは基本タイプをベースに、小麦粉の割合やシュー用油脂、全卵、ベーキングパウダーの量を調整しています。
それぞれのレシピのポイントは赤のアンダーラインで示しています。
レシピの特徴は以下の通りです。
- 厚皮タイプ:2種類の小麦粉(薄力粉と強力粉)を使い、全卵の量を減らすことで、皮を厚くしゴツゴツとした見た目やザクっとした食感を出します。
大きく膨らみすぎないよう、シュー用油脂も減らします。 - 薄皮タイプ:シュー用油脂やベーキングパウダーの量を増やし、大きく膨らませることでより薄い皮を作ります。
小麦粉の割合やシュー用油脂、全卵、ベーキングパウダーの量を変えると、なぜこんなに見た目や食感の異なるシューパフになるのでしょうか?
第2章で詳しく解説します。
2.原材料の配合バランスを変えると見た目や食感が変わる!
2章では見た目や食感を変えるためのポイントをお伝えします。
厚皮タイプの「ゴツゴツ・ザクっと」系と薄皮タイプの「なめらか・やわらか」系、その分かれ道となる主要原材料の設計ポイントをまとめました。
作りたいシューパフのタイプと設計ポイント
| 原材料 | 厚皮・ゴツゴツ・ザクっと | 薄皮・なめらか・ やわらかく口どけよい |
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|
| 小麦粉 | 薄力粉+強力粉 併用する |
薄力粉のみ 小麦デンプンを併用しても良い |
| 油脂 | 減らす | 増やす 液体油を併用することもある |
|
全卵
|
減らす | 標準or 増やす |
|
ベーキングパウダー
|
減らす |
増やす
|
なぜこのように原材料の配合バランスを変えると見た目や食感が変わるのでしょうか?
本記事では、小麦粉、シュー用油脂、全卵、ベーキングパウダーの4つの原材料に注目し、それぞれがシューパフの見た目や食感に与える影響について詳しく解説します。
理想とするシューパフを作るためには、各原材料の特性を理解し、目的に応じて使いこなせるようになることが大切です。
2.1. 小麦粉
厚皮タイプのレシピでは、薄力粉だけでなく強力粉も使用しています。
強力粉はたんぱく質含量が多く、グルテンが形成されやすい性質を持ちます。
薄力粉だけで作る場合よりも、グルテンの弾力が強くなり、シューの膨らみを抑えるため、皮が厚くなります。
また、グルテンの弾力に由来するしっかりとした硬さのシューパフになります。
小麦粉の種類の選択のポイント(応用編)
薄皮タイプのシュー生地の歯切れや口どけをさらに良くしたい場合は、薄力粉の一部を、たんぱく質をほとんど含まない小麦デンプンに置き換えると良いでしょう。
小麦粉の種類や配合割合を変える際は、たんぱく質含量に着目すると効果的です。
2.2. シュー用油脂
厚皮タイプのレシピでは、シュー用油脂の配合量を減らし、薄皮タイプのレシピでは配合量を増やしています。
シュー用油脂は、シューパフのボリューム増加や空洞促進を目的に使われる専用油脂です。
厚皮タイプでは、ボリュームが出すぎないように配合量を減らしてボリュームを抑制し、薄皮タイプではよりボリュームを増加させ、皮を薄くするため配合量を増やします。
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◎月島食品がオススメするシュー用油脂
シューファンデクレール
歯切れ、口どけの良いシューパフが焼き上がります。独自製法油脂を使用することで、パフの風味が良くなり、クリームのおいしさを引き立てます。
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油脂の量・種類選択のポイント(応用編)
薄皮タイプのシュー生地の歯切れと口どけをさらに良くしたい場合は、シュー用油脂の配合量の調整だけでなく、サラダ油などの液体油脂を併用するのも効果的です。
弊社では各種タイプの油脂を取り揃えておりますので、ぜひお問い合わせください。
2.3. 全卵
厚皮タイプのレシピでは、全卵の配合量を減らしています。
全卵の配合量を減らすことで、生地を硬くし、ボリュームを抑制します。
また、生地が硬くなると伸びにくくなり、シューパフの表面に亀裂が入りゴツゴツとした見た目になります。
反対に全卵の配合量が多いと、生地の伸びが良くなるため、亀裂が浅くなり、全体的になめらかで丸みのある見た目になります。
薄皮タイプでより薄くなめらかなパフにしたい場合は、全卵の配合量を調整するのも良いでしょう。
ただし、どちらも極端な配合量にすると、シューパフがきれいに膨らまなくなる場合があるので注意が必要です。
2.4. ベーキングパウダー
薄皮タイプのレシピでは、ベーキングパウダーの配合量を増やします。
これまでにご紹介してきた原材料と同様、シューパフをより大きく膨らませることで薄皮にします。
いかがだったでしょうか?
ほんの少し原材料の配合量を変えるだけで、シューパフの特徴が変わることをご理解いただけたかと思います。
ただし、いずれも極端な増減をすると、シューパフがきれいに膨らまなくなるといった弊害が出ることがあるため注意が必要です。
この他、配合以外にもポイントが存在します。
最後にシューパフを焼成する際のポイントをご紹介しましょう。
焼成のポイント
シューパフを焼成する際には、ザクっとした食感を出す、大きく膨らんだシューパフが萎まないようにするなどの理由により、しっかりと焼き切ることが大切です。
ただし、どんなレシピでも焼きすぎると皮が厚く硬くなり、麩菓子やパフ菓子のような構造になってしまいます。
適切な焼成条件を設定することが大切です。
ぜひ、イチオシの配合バランスや原材料の組み合わせの他、適切な焼成条件を見つけてください。
3.まとめ
本記事では、基本タイプ、厚皮タイプ、薄皮タイプと異なる3種類のシューパフのレシピとその詳細についてお伝えしました。
自分が理想とするシューパフを作るためには、基本となる原材料のそれぞれの特性を理解し、目的に応じて使いこなすことが大切です。
このコツを掴めば、あの人気のお店のレシピが再現できるかもしれません。
お菓子のレシピは無限大です。
今回ご紹介した内容以外にもたくさんのレシピやコツがあります。
弊社はシュー用油脂を製造販売して55年の実績があります。
業務用商品開発・配合設計のご相談やサンプル対応も可能です。
「もっと歯切れの良い皮にしたい」「大規模生産に適した油脂・配合を知りたい」など、現場でのお悩みにあわせたご提案が可能です。
シューパフ・シュークリームに関してお困りごとがある際には、ぜひ弊社までお問い合わせください。




