フラワーペーストとは?定義から製造方法まで徹底解説!

フラワーペーストという言葉を聞いてどんなものを思い浮かべますか?
花(flower)のペースト? ペースト状の食品なんだろうけど具体的にはどんなもの?
そんな方もこれまでに1度はフラワーペーストを食べたことがあるはずです!

本記事では弊社でフラワーペーストの開発を担当する筆者が、フラワーペーストとはいったいどんな食品なのか、更にはその製造方法などを解説いたします。
日常的にフラワーペーストを使っている方もそうでない方も、本記事を通してフラワーペーストについて理解し、これからの商品開発に活かしていただけますと幸いです。

1.フラワーペーストとは?定義から具体例まで解説

「フラワーペーストという言葉は効いたことがあるけどいったいどんな食品?どんな種類があるの?」と疑問に感じますよね。
フラワーペーストとは、パン又は菓子に使用される加熱殺菌されたペースト状の食品です。
本章ではフラワーペーストの定義を解説したのち、具体例を挙げながらフラワーペーストにどんな種類があるのかご紹介いたします。

1.1.フラワーペーストとはパン又は菓子に使用される加熱殺菌されたペースト状の食品

フラワーペーストは、「Flour(小麦粉)」と「Paste(ペースト)」を合わせた造語です。

フラワーペーストは食品衛生法により以下のように定義づけられています。

ラワーペースト類(小麦粉、でん粉、ナッツ類若しくはその加工品、ココア、チョコレート、コーヒー、果肉又は果汁を主要原料とし、これに砂糖、油脂、粉乳、卵、小麦粉等を加え、加熱殺菌してペースト状とし、パン又は菓子に充てん又は塗布して食用に供するものをいう。)

引用:食品衛生法|食品添加物使用基準
(リンクの2ページ目サッカリンカルシウム及びサッカリンナトリウム等の欄より)

曖昧な定義に見えますが、要約するとパン又は菓子に使用される加熱殺菌されたペースト状の食品です。

食品によってはもっと具体的に定義づけられているものもあります。
例えばマーガリンは、農林水産省が規定するJAS規格により油脂の含有率や乳脂肪分が規定されています。
出典:日本農林規格 JAS 0932:2019 マーガリン類 (農林水産省)

一方でフラワーペーストは特定の原料について、含有率などが定められている訳ではありません。                            
そのためフラワーペーストの製造者や、これを使用するメーカーが各自で社内規格を作り、適合したものを「フラワーペースト」と表示しています。
また、名前には「Flour(小麦粉)」とありますが、必ずしも小麦粉を使用しなくてもフラワーペーストと名乗ることができます。

1.2.身近なフラワーペーストの例

本章では具体的なフラワーペーストを挙げていきます。
フラワーペーストが身近な食品であることがお分かりいただけると思います。

①カスタードクリーム

カスタードクリームカスタードクリームは一般的に卵黄、砂糖、牛乳、小麦粉を混ぜ合わせ、加熱して作られるクリームです。
フラワーペーストとカスタードクリームは、似た原材料を使用しているため、カスタードクリームもフラワーペーストの1種といえます。

②チョコレートフラワーペースト

チョコレートフラワーペースト

チョコレートやココアパウダーなどを使用することで、チョコレートの風味をもつフラワーペーストです。
「チョコレート」と冠するためにはカカオ分が3.5%以上(業務用の場合2.5%以上)でなければならないことが、全国チョコレート業公正取引協議会によって規定されています。
出典:チョコレート利用食品の表示に関する公正競争規約及び規則

③ミルクフラワーペースト

ミルクフラワーペースト

牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等が配合されているミルク風味のフラワーペーストです。
ミルクフラワーペーストに関しては、フラワーペーストメーカーあるいはこれを使用するパン・菓子等のメーカーが「ミルク」表示に関する自主規格を決めている場合がほとんどです。

④その他
上記のもの以外にも、コーヒーやバニラ、フルーツ風味のものなど様々なバラエティがあります。

また、形状も製菓・製パンの業務用途においては、包餡・注入・サンド・スプレッド・フィリングとして使用されるペースト状や、パン生地に折り込むためにシート状に加工されたものも販売されています。
近年はこれらの製品が各種のECサイトで、気軽に購入できるようになったこともあり、消費者にとってもより身近な食品となっています。

1.3.風味以外の分類|常温用・冷蔵用

1.2.では風味別にフラワーペーストを紹介しましたが、1つの風味(例えばカスタードクリーム)でもたくさんの種類がありますよね。
これらの違いはいったい何なのでしょうか。
もちろんそれぞれ風味や食感も違うのですが、フラワーペーストが使用される最終商品の販売温度帯によって常温用・冷蔵用の2タイプに分類することができます。
フラワーペーストの種類(常温用・冷蔵用)例えば、コンビニなどのパンコーナーで売られているクリームパンには、常温用のカスタードクリームが使用されています。
一方で、冷蔵コーナーで売られているシュークリームなどには、冷蔵用のカスタードクリームが使用されています。

このような使い分けが必要な大きな理由は、常温は冷蔵と比較すると微生物が増殖しやすい温度帯のため、これを抑制することを考慮して設計されているからです。

では具体的に、味や食感にどのような違いがあるのでしょうか。
まとめた表がこちらです。

フラワーペーストの種類の違い(常温用・冷蔵用)

あくまで一般的な傾向にはなりますが、微生物の生育を抑制するため常温用のフラワーペーストは、冷蔵用と比較し糖度が高く、甘い傾向があります。
これは糖が微生物の生育に必要な水を奪うためです。
また同様の理由で常温用の方が水分値が低く、もったりと濃厚な食感のものがよく見られます。
一方で冷蔵用は甘さが控えめでみずみずしい食感のものが主流です。

2.フラワーペーストはどうやって作られるのか?製造工程は大きく4工程

これまでフラワーペーストとは何か、どのような種類があるかご説明してきました。
ではフラワーペーストはどのようにして作られているのでしょうか?
本章ではフラワーペーストがどのように製造されているのかを解説いたします!

フラワーペーストの製造工程は大まかに4工程に分けられます。

フラワーペーストの製造工程

それぞれの工程について解説していきます。

①原料の計量

原料の計量

配合する原料を計量します。
原料は1.1.のフラワーペーストの定義でもあったように、小麦粉、でん粉、ナッツ類、ココア、チョコレート、コーヒー、果汁、砂糖、油脂、粉乳、卵など様々です。

②調合

調合

仕込み水や牛乳などの水系が入ったタンクに原料を投入します。
ミキサー等で攪拌することで粉体類を溶解させます。
これでフラワーペーストの原液ができあがります。
この段階では粘度のない状態である場合が多いです。

③加熱・殺菌

加熱・殺菌

原料を調合したものを加熱し、微生物を殺菌します。
殺菌することにより手作りにはない、長い日持ちを担保することができます。
加熱方法やどれくらい加熱するかは各メーカーによって異なります。
また、この工程ででん粉の糊化、タンパク質の変性等がすすみ、粘度のあるフラワーペーストらしい物性になります。

④冷却

冷却殺菌を終えたフラワーペーストを冷やします。
微生物が増殖しやすい約20~40℃の温度帯をなるべく早く通過させるため、そのまま冷蔵庫に入れるのではなく「冷却」という工程を行います。

以上、加工油脂製造メーカーとしてフラワーペーストも製造している当社の製造工程を一例として挙げて説明しました。

3.フラワーペーストは用途に合わせて選ぶ

フラワーペーストは、各社から個性的な商品が非常に多く発売されています。
味のバリエーションが豊富なため、定番のクリームパンはもちろん、季節感を演出したパンやお菓子に幅広く使用できます。
味以外にも、「かたさ」や「滑らかさ」といった物性も、おいしさを左右する重要な要素です。
また、フラワーペーストは食べる際の食感はもちろん、製造時の作業性最終製品の形状にも大きく影響しますので、用途にあった商品を選ぶことが大切です。
その他、保管温度(常温・冷蔵)商品に使用した場合の日持ちなども考慮しましょう。

ここでは、当社が製造するフィリング類のうち、パン・洋菓子におすすめのフラワーペーストを2種類ご紹介します。

◎焼き立てパンに最適!みずみずしく、なめらかな食感と濃厚な卵風味が特徴

グレイスカスター | もっとカンタンにおいしいを|月島食品|QMS
グレイスカスター 

 ◎牛乳と卵不使用の「植物性カスタードクリーム」

プラボカスター/MB | 製品紹介 | 月島食品工業株式会社

プラボカスター

4.まとめ

いかがだったでしょうか。
本記事ではフラワーペーストとは何か、その種類、製造工程を中心に解説しました。
フラワーペーストはパンやスイーツのおいしさを高める魅力的な食品です。
本記事がフラワーペーストへの理解を深め、あなたの商品開発のお役に立てれば幸いです。

食品開発でお困りの方はご相談ください!業務用無料サンプルもあります

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  • マーガリン
  • ショートニング
  • ホイップクリーム
  • フィリング
  • 機能性素材
  • チョコレート
  • 冷凍生地

※取り扱い製品の詳細はこちらからご覧いただけます。

どの製品を使えばいいかわからないという場合も、使用用途や開発のお悩みなどをご教示いただけましたら、最適な製品をご提案させていただきます。

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