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「未来の当たり前」になる油を作りたい

ほとんどの人にとって、油は日常生活の中で何気なく使われているものに過ぎないのかもしれません。
しかし、私たちは油に、まだ十分に引き出されていない無限の可能性があると信じています。
これまでの月島のモノづくりの歴史を踏襲し、そしてこれからは最新の科学技術を取り入れながら、
私たちはこれからも「油のネクスト」を生み出していきます。

  1. 油脂の品質を左右する「精製」

    月島食品のほとんどの製品は、油脂を原料としています。油の主成分は、トリアシルグリセロールという3つの脂肪酸からなる物質です。トリアシルグリセロール自体に味はないため、本来油は無味無臭です。しかし、天然の植物を原料とする油脂にはさまざまな不純物が含まれており、油を口にしたときに「油っぽさ」を感じる原因は、こうした不純物に由来します。

    そこで重要になるのが、油脂から不純物を取り除き、見た目や風味を向上させる「精製」という工程です。精製には、油脂の酸成分を取り除く「脱酸」、色素成分を取り除く「脱色」、そして悪臭成分を取り除く「脱臭」という段階があり、これらは油脂の風味を大きく左右する重要な要素です。

  2. 半世紀以上積み上げてきた
    油脂精製の技術

    月島食品は原料である植物油脂を買い付け、自社で精製を行っています。自社の油脂原料を持たない月島食品にとって、精製工程は他社との差別化を生む大切なポイントです。

    私たちが油脂の精製を導入したのは1960年代にまで遡ります。油脂の精製が不十分で油脂に雑味があると、せっかくの製品の風味が台無しになってしまいます。私たちは半世紀もの長い年月をかけて、多くの部署が力を結集して工程を一つひとつ見直し、微妙な風味の変化を自らの舌で感じ取りながら、文字通り油を磨き続けてきました。このようにして生み出された油脂原料は、現在の月島食品の製品の土台となっておいしさを支えています。

  3. 食品の風味を最大限に引き出す
    「FRI製法」

    月島食品は近年、FRI製法という独自の精製方法を確立しました。FRIとは「Flavor Release Improver」の略称であり、「風味の発現を強めるもの」という意味を持ちます。油は本来、さまざまな香り成分を溶かし込む媒体として機能しますが、油に含まれる一部の不純物が香りを妨げていました。月島食品は長年の精製技術の積み重ねによって、その不純物を特定し低減することに成功し、食材の本来持つ風味を引き出す油脂の製造が可能になりました。

    この技術は高く評価され、2024年に日本食糧新聞社の新技術・食品開発賞を受賞しました。さらに直近の研究によって、FRI製法で生み出された油脂には食材の塩味を強調する効果があることも明らかになりました。従来の油脂は塩味を丸くする(マスキング)と言われてきましたが、FRI油脂の逆に塩味を強める効果を利用して、私たちは油脂で減塩をめざす新たな食品開発にも取り組んでいます。

  4. 最新技術とともに生み出す
    さらなる油の「ネクスト」

    月島食品の精製技術は今もなお進化を続けています。新たなアプローチとして、最新の分析機器を用い、油の精製過程で生じるppm(100万分の1)レベルの成分変化を緻密に測定しています。こうした詳細な分析を行うことで、今度は油脂のコク成分を高含有させるRTI(Rich Taste Improver)製法という新たな製法を生み出すことに成功しました。

    私たちはこれからも「油のネクスト」を作り続けるために、研究と改良を重ねていきます。