研究開発 “オリジナル発酵素材”の強み
月島食品だけでしか生み出せない、おいしさの源泉
月島食品は半世紀にわたって、ヨーグルトや発酵バター、生クリームなど
さまざまな風味の発酵素材を開発してきました。
発酵は、乳酸菌などの生き物を利用したプロセスであるため、
目的の品質のものを作り出すことは至難の業です。
しかし私たちは、長年培ってきた豊富なノウハウを生かし、
原料素材の選定はもちろん、発酵の温度や時間など、細部まで厳密にコントロールすることで
月島食品オリジナルのおいしさを生み出しています。
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なぜ加工油脂メーカーで
発酵なのか発酵とは、微生物の酵素で原材料が分解され、複雑な風味が生まれるプロセスです。発酵バターやヨーグルト、チーズなどの乳製品では、発酵が味の決め手となります。これは、乳酸菌などの微生物が糖やタンパク質、脂質といった栄養素を分解する過程で、多彩な味や香り成分を生成するためです。
月島食品では、マーガリンやホイップクリームなど、乳製品と同様の風味が求められる製品を数多く扱っています。しかし、単に乳製品の原材料を買ってきて混ぜるだけでは、本物のようなコクや香りを十分に再現することは困難です。そこで独自の発酵素材を開発し、豊かな風味を再現する技術を確立しています。
さらに、私たちは発酵によって風味を近づけるだけでなく、扱いにくい食材を使いやすく変えることも実現してきました。本章では、その一例をご紹介します。
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“液状熟成チーズ”を目指した
発酵素材の開発2010年代、チーズの需要が拡大し、とりわけ風味豊かな熟成チーズが人気を集めるようになりました。しかし本格的な熟成チーズは、1年以上の長期熟成が必要であるため非常に高価です。
また、チーズは食品中にうまく分散させることが難しい食材であり、均一に溶かしてクリームなどに用いる際には、リン酸塩や乳化剤などの添加物を使う必要があります。しかし、お客様のなかには「添加物を極力使いたくない」という要望もあり、チーズをそのまま使うのは難しいケースもありました。
そこで新たなプロジェクトでは、
1. チーズそのものを配合せず熟成チーズの風味を再現する
2. 最初から液状で、食品に簡単に混ぜ合わせられる
という2つの要素を満たす、これまでにない「熟成チーズ風味の液状発酵素材」の開発を目指しました。 -
細部までとことんこだわった
発酵プロセス月島食品は過去にもチーズ風味の発酵素材の開発に挑戦したことがありました。しかし当時は、複雑な熟成チーズの風味を再現するのが難しく、原料にチーズを使用せざるを得ませんでした。今回の開発では、その反省を踏まえながら、発酵プロセスをより綿密にコントロールし、新たな製造方法に挑戦を続けました。
たとえば、液状を保ちながら旨味やコクをどのように最大化するかは大きな課題でした。また、発酵温度や撹拌条件がわずかに変わるだけでも、風味や粘度が大きく左右されます。こうした要素を一つひとつ丁寧に検討し、細心の注意を払って実験を重ねました。
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オリジナル発酵素材が切り拓く
新しい価値1000以上もの条件の試作の末、「液状の熟成チーズ」と呼べるほど、深い旨味とコクをもつ発酵素材の開発に成功しました。既存のチーズ風味原料には「旨味が強すぎる」「苦味も同時に強く出る」といった課題がありましたが、月島食品の発酵素材はそうした欠点をカバーし、味のバランスが優れていることが特徴です。
さらに、この独創的な発酵技術は特許を取得しています。現在では、さまざまな製品に使用されており、例えばパンのフィリングに配合することで自然で豊かなチーズ風味のアクセントを加えてくれます。
私たちはこの発酵の力を月島食品の製品を支える大きな柱として、これからも磨き続けていきます。


