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いつでもなめらか――日本初のソフトマーガリン

ソフトマーガリンとは、ロールパンに入っているような
口どけの良い柔らかなマーガリンのことを指します。
今では多くの方に愛される定番の食品ですが、
実は日本で初めてソフトマーガリンを開発したのは、私たち月島食品なのです。

マーガリンは、月島食品のルーツともいえる食品です。
その開発の長年にわたる試行錯誤の歴史は、
今もなお私たちのモノづくりの礎として、しっかりと根付いています。

  1. ※当時の広告です

    戦後のマーガリン事情

    マーガリンはバターの代替品として誕生し、戦後の日本ではパンに塗る「付けバター」として広く普及しました。1940年代末には100社を超えるマーガリンメーカーが乱立し、月島食品もその頃に創立された企業の一つです。

    当時、昼食やおやつには「コッペパン」が人気で、背開きにしたパンにマーガリンを塗って食べるのが一般的でした。さらに製造機の進化により、徐々により柔らかいマーガリンを作れるようになりました。こうした時代の流れを受け、月島食品はパン屋の店頭で手軽に塗って提供できるマーガリンに需要があるのではないかと考え、開発に着手したのです。

  2. マーガリンと気温

    私たちはソフトマーガリンの開発にあたり、大豆油・ナタネ油・ヒマワリ油などさまざまな油脂を検討し、どんな組み合わせならなめらかさを維持できるのか、それぞれの特性を徹底的に研究しました。

    しかし、柔らかく溶けやすい一方で、形状を保つ必要のあるマーガリンを作り出すのは、決して容易なことではありません。さらに日本は四季があり、気温が年中変化するだけでなく、地域による寒暖差も激しいです。こうした気温の変化を考慮しなければ、不良品が発生する原因となります。

  3. 日本初の
    ソフトマーガリンの誕生

    月島食品が季節や地域による気温差に対応するために採用したアイデアは、複数の原料配合の組み合わせを用意し、気候に応じて使い分けるというものでした。マーガリンは固形油脂と液状油脂の比率次第で硬さや口どけが大きく変わります。当時は7種類もの配合パターンを駆使することで、全国どこでも一年中変わらないなめらかさの実現に挑戦したのです。

    こうした工夫から誕生したのが、その名のとおり「ソフトマーガリン」。発売後ただちに大きな反響を呼び、1955年には農林大臣賞を受賞しました。

  4. 更なる「おいしい」を求めた
    発酵素材の開発

    月島食品はソフトマーガリンの発売以降も、新たなチャレンジを続けています。その一つが、自社の発酵設備を用いた風味原料の開発です。

    植物油脂が主原料のマーガリンは、本来バターのような深い香りに乏しく、一般的には香料で補います。しかし私たちは、発酵で香りを引き出した乳製品を原料に組み込むことで、マーガリンのおいしさを一段と高めることに成功しました。

    このオリジナル発酵素材こそが月島食品の大きな強みであり、マーガリンをはじめ多彩な製品に活用されています。

  5. トランス脂肪酸問題の克服

    2000年代初頭、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸が冠動脈疾患リスクを高めるとして、社会に大きな衝撃が生まれました。

    月島食品では、長年培ってきた油脂加工のノウハウを結集し、従来のなめらかな口どけを損なうことなく、2005年という早い段階から低トランス脂肪酸マーガリンへ切り替えを実現しています。

    マーガリンは月島食品創業の原点です。時代が移り変わっても、おいしさへの探求は終わりません。その一歩先の味わいを、これからも食卓へ届け続けます。